シバザクラ(芝桜)【庭の草木や花々】
垣根の切れ目、サザンカと南天に分かれるその境目。ピンクの花を咲かせているのはシバザクラです。決して大きい株ではありませんが、そのピンクの花は目を引きます。そんなシバザクラについて気まぐれに調べてみました。
シバザクラ(芝桜)ってどんな植物?
シバザクラの基本情報
園芸分類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
原産地 | 北アメリカ |
草丈 | 高さ5~10cm 茎の長さ20~100cm |
開花期 | 4月上旬~5月下旬(地域で異なる) |
花色 | 紫・ピンク・白・青・複色 |
耐寒性 | 普通~強い |
耐暑性 | 普通~強い |
シバザクラの特徴
葉は針状に細くて硬さがある、匍匐(ほふく)性の植物です。茎が芝のように広がって地表を覆い、春には小さい桜のような花を付けます。
シバザクラは常緑性の植物のため冬も緑のままです。ただし芝ほど踏まれるのに強くないため、人が踏み入る場所には適しません。
庭の開いているスペースで手間をかけずに楽しめる初心者向きの植物です。
シバザクラの花言葉は?
シバザクラは花言葉の多い植物です。全体としては「一致」「合意」「臆病な心」のほか、力強い性質から「忍耐」「一筋」「希望」「誠実な愛」があります。
また一斉に咲く様子から「温和」「協調」という花言葉もあるのです。
色別では青や白系が「燃える恋」「きらめく恋・愛」、濃いピンクは「私を拒絶しないで」となります。
濃いピンクが「拒絶しないで」となったのは派手なイメージから付きました。
プレゼントする時には花言葉も意識して送りたい花です。
シバザクラの品種
オータムローズ
「シバザクラといえばこれ」というほどポピュラーな品種です。ヨーロッパで作られた品種で、淡くやさしいピンク色の花を咲かせます。
マックダニエルズ・クッション
濃い目で大きいピンク色の花を咲かせるシバザクラです。丈夫で初心者でも育てやすいと人気があります。
モンブラン・ホワイト
白い花のシバザクラの代表品種です。葉も鮮やかな黄緑色をしているため、ほかの花との寄せ植えにも人気があります。
オーキントン・ブルーアイ
花の色は青みが強く、花弁の切れ込みが深いのが特徴のシバザクラです。
スカーレット・フレーム
赤に近いピンク色で、花びらが細めでやや小さい花のシバザクラです。花の中心に赤桃色の模様がある、可憐な花が印象的。夏場はやや蒸れに弱い分、管理に注意が必要です。
多摩の流れ
別名「キャンディ・ストライプ」と呼ばれる、ピンクと白の縞模様の花が咲くシバザクラです。覆輪の代表品種ともいえます。
シバザクラにはこのほかにも豊富な品種がある
シバザクラにはさまざまな品種がそろっています。花の大きさや色もさまざまなため、混植を楽しむのもおすすめです。
シバザクラの育て方
日当たり
シバザクラは日当たりを好みます。庭木の下草のように日陰になるところでは成長が悪くなるので避けましょう。また蒸れやすいと枯れやすくなるので風通しのよい場所が適しています。そのため水はけのよい傾斜地や、石垣などで育てると手間がかかりません。
土
水はけと通気性がよく、乾燥しやすいくらいの土が好みです。地植えにする場合には水はけがよければ特に場所を選びません。
鉢植えにするときには、市販の培養土に川砂を1~2割混ぜたものがおすすめです。
植え付け
シバザクラは鉢植え・地植えともに3~5月か、9~10月に植えつけます。ポット苗を買ってきて植え付けるとよいでしょう。
シバザクラは横に広がる性質のため、株間は15~20cmあけるようにして植え付けます。植えつけた後に茎を横に広げ、「目土(めつち)」をするのがおすすめです。
「目土」とは株の上に土をかけ、茎の下半分が埋まるくらいの量の土を擦り込むようにならすこと。シバザクラのような匍匐性の植物は、目土をすることで茎の節から新しい根を出させると同時に根を保護することもできます。
水やり
植え付けてまだ根付く前の株は、土の表面が乾いてきたらたっぷり与えます。ただし過湿を嫌うため、水のやりすぎには注意が必要です。
地植えの場合は根付いてしまえばほとんど水やりは必要ありません。鉢植えの場合は土が乾ききったらたっぷり与えます。このときもやりすぎには注意してください。
肥料
花が咲くより前の早春に、規定量に薄めた液体肥料を1、2週間おきに2~3回与えるか、少量の化成肥料をまいておきます。花付きが悪くなるので窒素分の少ない肥料を選びましょう。
また花が終わった後にも少量の化成肥料をまけば十分です。まったく与えないのは問題ですが、大量に与える必要もありません。
切り戻し
シバザクラは風通しのよい環境を好むため、花が終わった後、葉が混みあっている部分を中心に刈り込みます。株元が蒸れていないか確認しながら刈り込むとよいでしょう。
シバザクラは過湿に弱いため梅雨が苦手です。そのため梅雨前に刈り込んでおくとよいでしょう。
植え替え
シバザクラは3~4年ほどすると根元が木化して花付きが悪くなり、その部分だけはげたようになってきます。目土をすることで新芽を出させ改善させることもできますが、別の株と植え替えるのも効果的です。
新しく苗を買ってくるか、挿し芽や株分けなどで新しい株を用意するかしておくとよいでしょう。
増やし方
挿し芽
挿し芽は花が終わった後の6月か、9~10月に行います。使う土は肥料分の少ない用土を用意してもよいですが、市販の培養土でも大丈夫です。挿したばかりの頃は水揚げが悪いため、十分に土を湿らせておきます。
勢いのある芽を5cmほどの長さに切り、根元の方から1/3ほど葉を落としたものを土に挿してください。3週間ほどで根が出てくるので発根を確認したら植え付けます。
株分け
株分けの適期も挿し芽と同じです。密集しているところの株を間引きしたものを使うと無駄がありません。
間引きした株を2~4つ芽が付くようにカットします。枯れた部分を取り除いたら、十分に湿らせておいた用土に挿すだけです。
手でちぎって茎を半分植え付けるだけでも根付くくらい丈夫なので、寒くなる前に根をはれる時期に行えば問題なく育ちます。
病害虫
夏場の乾燥した時期にハダニが発生しやすいです。ハダニも乾燥を好むため、ときどき上から水をかけるとある程度予防できます。
シバザクラの名所
【北海道】東藻琴(ひがしもこと)芝桜公園
本州では見頃がすぎたシバザクラをまだ楽しみたいという方におすすめです。
毎年5月上旬~6月上旬にかけてが見ごろ。10ヘクタールがシバザクラで染まる名所として有名です。様子はこちらの動画をどうぞ。
【埼玉県】羊山公園芝桜の丘
関東圏有数のシバザクラの名所です。1万7,600平方メートルの敷地に10種類40万株以上のシバザクラが植えられています。
武甲山を背景に、さまざまな角度から楽しむのがおすすめです。様子はこちらの動画をどうぞ。
【山梨県】富士本栖湖リゾート(富士芝桜まつり)
富士山を背景にシバザクラのじゅうたんが広がる名所です。1万5,000平方メートルの敷地に色とりどりのシバザクラが植えられています。
富士芝桜まつりは4月中旬~5月下旬にかけて。様子はこちらの動画をどうぞ。
我が家で咲く唯一の「サクラ」
我が家のシバザクラは、気が付いたら垣根の下から顔を出していたものです。特に手入れをするでもなく放置していますが、それでも毎年花を咲かせます。
桜の木がない我が家では「サクラ」とつく花で唯一咲くのがシバザクラです。垣根の下から道の方に出ていってしまっているので、庭で広がるように誘導してみようかな。