カッコウ【身近にいる鳥たち】

2023年6月27日

我が家の近くでは6月中旬頃には鳴き声が聞こえてくるカッコウ。梅雨の最中ともなるとさすがにめったに鳴くことはありませんが、それでもその独特の鳴き声は目立ちます。カッコウといえば鳴き声のほかにも独特な子育てで有名です。そんなカッコウについて気まぐれに調べてみました。

カッコウってどんな鳥?

カッコウの特徴

カッコウの特徴をまとめると以下になります。

科目カッコウ目カッコウ科カッコウ属
体長35cm
体重70~130g
翼開長
【翼を広げた長さ】
55~60cm
体色雌雄同色
・頭頂部から背中にかけて青みがかった灰色
・胸から腹は白で青みがかった灰色の細い横線が密に入る
足の指通常の鳥が前3本・後1本に対し、前2本・後2本の対趾足(たいしそく・ついしそく)

カッコウの名前の由来

カッコウの名前の由来は文字通りその鳴き声です。繁殖期に入るとよく通る声で「カッコー」と鳴くことから名付けられました。

カッコウの名前を漢字で書くと?

カッコウを漢字で書くと「郭公」となります。ただしこれは中国名をそのまま持ってきたものです。中国でも名前の由来は「カッコー」という鳴き声なので、そのままでもしっくりきます。

カッコウは英語では何という?

カッコウは英語でも鳴き声から名前がつけられています。「cuckoo(国によってクーク・クコーなど)」といいます。

実は日本や中国、イギリスだけでなく、様々な国でカッコウの名前は鳴き声が由来になっているのです。フランスでは「coucou(クーク)」、ドイツでは「kuckuck(クークック)」、オランダでは「koekoek(クークークー)」といいます。学名も鳴き声がもとになっており、属名のCuculusも鳴き声が由来です。種小名canorusは「響く・音楽的」を意味しています。

カッコウの鳴き声

皆さん「カッコウなんだからカッコーでしょ?」と思うかもしれません。しかし実は「カッコー」と鳴くのはオスだけ。メスを呼ぶためのさえずりです。メスは「ピピピピ」と鳴きます。普段する鳴き方である地鳴きには、ほかに「ピヨピヨ」というものも。しかもよく鳴くのは繁殖期だけのため、「気付いたらいなくなっている」そんな鳥です。

カッコウは擬態している?

カッコウは下から見るとハイタカと同じカラーリングをしているといいます。ではなぜ同じような見た目が必要なのか?と物議をかもすのも当然です。

一説では繁殖のときにほかの鳥の巣に近寄る際、邪魔されないように模倣しているのだといいます。実際他の鳥の巣に近寄る際にはタカの鳴きまねも行うことが判明しているのです。

ちなみにハイタカはこんな鳥です。

カッコウの生態

特徴

カッコウの生態をまとめると以下になります。

分布・繁殖地はユーラシア大陸とアフリカ
・越冬地はアフリカや南アジア
分類日本では夏鳥(九州より北)
生息域森林や草原、寒冷地では平地でも見られる
食性動物食
・昆虫類や節足動物
・特に親鳥はヒナと競合しないように毛虫を好む(胃などに毛虫の毒毛が刺さっていることも)
・稀に卵やヒナ
天敵オオタカやイヌワシなどの猛禽類・オコジョなど
寿命平均で6年ほど

カッコウの繁殖・子育て

カッコウの繁殖の特徴といえば「托卵」

カッコウの繁殖方法は有名な「托卵」です。托卵先の親鳥がちょっと巣を開けたそのすきを狙って卵を産みます。

カッコウのメスはよく、産み付ける巣に合わせて卵の模様を変えるといわれますがそんなことはありません。ちゃんと自分が産む卵の模様に似た相手に托卵します。すでに遺伝的にそうするようになっているというのです。

托卵しに行くときにはタカの鳴き声を真似する、すでに産み付けられている卵を1個くわえて持ち出すといった小細工もちゃんとします。

さらにヒナは10~12日前後と早めに孵化して巣の中にある卵や先に生まれたヒナを巣の外に落とし、托卵先の親鳥からのエサを独占するのです。そのために目が明く前でも卵やヒナを落としやすいよう、背中にくぼみを持って生まれます。

カッコウはずるがしこい鳥といわれるのも仕方のないことなのかもしれません。

実はある。ほかのカッコウのヒナとのバッティング

托卵先が他のカッコウとバッティングして1つの托卵先に2個のカッコウの卵がある、そんな事態が起こってしまうこともあります。基本的に托卵先の親鳥よりも体が大きくなるカッコウのヒナは、エサを独占できないと成長できないリスクが高まるのです。

托卵先の卵やヒナを落とし切れず、それでも無事に巣立てたという例もあるといいます。しかしやはりエサを独占したいというのは間違いありません。ましてや同じカッコウ同士でエサを奪い合っても共倒れの可能性の方が高いといえるでしょう。当然、托卵先の卵やヒナと同様に落としにかかります。つまりカッコウ同士でバッティングした場合は、カッコウ同士の生存権をかけたバトルも避けられません。「同じカッコウだから」というのは全くなく、勝負に勝った方が生き残ることになります。

カッコウはなぜ托卵する?

繁殖は種を維持するために最も重要な行為です。それをほかの鳥に託すというのはなかなか勇気がいるといえるのも事実ではないでしょうか。

ではなぜカッコウは托卵を選んだのか。残念ながら本当のところはわかっていません。

しかし実はカッコウは体温の維持がヘタな鳥です。外気温の変動による影響はもちろん、運動しているのかどうかなどでも体温が大きく変化します。このことから卵を上手に温められないのではないかというのが通説です。実際体温を測定してみた一例では、1日の間に29~39℃と大きく変化していました。

また巣を作るのがとてもヘタという説もありますが、托卵するカッコウの仲間全般が体温保持能力が低いことがわかっていることも事実です。このことからも本当に卵を上手に温められないのかもしれません。

カッコウに托卵される鳥は気付かない?

もちろん托卵される側もただ黙っているわけにはいきません。カッコウの鳴き声がしたら、周囲に営巣している仲間とともに追い払います。中にはカッコウの卵を見抜いて捨てる鳥がいることも事実です。

しかし全ての鳥がそうできるわけではありません。カッコウの方も戦略をきちんと練っています。

実はカッコウは複数のオスが同じ縄張りを持ちメスを誘うのです。1羽のオスがカッコーとさえずって托卵先の親鳥たちを誘い出し、そのすきにメスが卵を産みつけます。オスが戻ってくるのが遅いほどメスは卵が産みやすくなるため、誘導役のオスの手腕は重要です。

また托卵される方の鳥自身にも問題となるものがあります。本能です。異なる卵があると何となく気付いても温めてしまう、ヒナが開けている口を見ると自分より大きいのにエサを運ばずにはいられない、といった本能が働くといいます。

それでも托卵先の鳥も本能よりも排除意識が高まるよう、見抜く力を高め続けているのも事実です。そのためカッコウもより托卵先の卵に似た柄の卵を産めるよう進化しています(片利片害共進化)。

カッコウは何種類の鳥に托卵する?

日本でカッコウが托卵する鳥は、オオヨシキリ、ホオジロ、ウグイス、モズなど28種類が確認されてきました。ところが1975年ごろからオナガも托卵先にするようになった一方で、ホオジロへの托卵が稀になっていったというのです。

ちなみに世界で見ると約300種類の鳥が托卵先になっているとか。それでも托卵先の鳥の減少や環境開発などで、カッコウも総数が減り始めている鳥の1つになっていることは無視できません。

※ホオジロについてはこちら

※ウグイスについてはこちら

実は多い托卵する鳥

「種内托卵」と呼ばれるものは多くの種類の鳥で確認されている行為です。身近な鳥ではスズメやムクドリなどがあります。他の巣にメスが自分の卵を産みつけて自分の子も育ててもらうのです。

ただし北海道大学の研究でスズメを対象に観察したところ、血縁外のヒナが増えると子育てに力を入れなくなるということもわかりました。同種の鳥でも繁殖戦略による駆け引きが行われているのです。

※スズメについてはこちら

※ムクドリについてはこちら

カッコウの仲間

ホトトギス

全長は28cmほど。古来からさまざまな文献に登場するも、カッコウと間違えられたことも多いとされる鳥です。ウグイスなどに托卵します。「特許許可局」「てっぺんかけたか」などさえずりの表現も多いです。

ツツドリ

全長33cmほど。こちらもカッコウとよく似ています。さえずりは「ポポ ポポ」。センダイムシクイに多く托卵します。

ジュウイチ

全長は32cmほど。背は濃灰色で胸から腹は赤みを帯びています。カッコウと同じくさえずりが名前の由来。「ジュウイチー」と聞こえます。オオルリ・コルリ・ルリビタキなどに托卵する鳥です。

カッコウにまつわるエトセトラ

西洋でのカッコウ

ヨーロッパでは春を告げる鳥であり、幸運を呼ぶ鳥とされます。

ケルトではGowkと呼ばれて、妖精憑きの愚者(フール)とも関連付けられました。そのためエイプリルフールと関係のあるGowkの日があり、カッコウが鳴き始めるころに当たる4月13日にイタズラが行われるといいます。

ノルウェーでは作物や天気の予言を行う鳥として占いの対象に。どの方角から鳴き声が聞こえるかで吉凶を占っていたといいます。

またカッコウは生者と死者の世界の間を行き来できるとされ、メッセンジャーでもあるとされていました。このことからシベリアのブリヤート人には死んだ英雄を復活させるという伝説があり、8月からカッコウがくる春までは火葬は行わないようにする風習があるといいます。このほかにもアリストテレスがカッコウは季節でタカに変身するという説を支持していた、フランスの一部地域では初鳴きを聞いたときにポケットにお金があればその1年はお金に困らない、ノルウェーではカッコウの鳴く木の下にいると願い事が3つ叶うなど、様々な伝承や言い伝えがある鳥です。

カッコウが題材になってできた物

ドイツのシュヴァルツヴァルト発祥のものでカッコウをモチーフにして作られたものが「鳩時計」です。ヨーロッパでは古くから親しまれ、様々な音楽作品にも取り入れられてきました。今でも世界では鳩時計ではなくカッコウ時計が親しまれています。

日本でのカッコウの別名はあの言葉

日本ではカッコウの別名に「閑古鳥」があります。そうです。あのさびれたさまを示す「閑古鳥」。日本人はカッコウの鳴き声に物寂しさを感じていたようで、松尾芭蕉の有名な俳句にも「憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥」というものがあるとか。

先にカッコウ時計が世界で親しまれていることをご紹介しました。しかし日本だけが鳩時計になっています。その理由は縁起を担いでのことだったのです。

ただし閑古鳥がカッコウとする説には異論もあります。それでも鳩時計に変わるだけ浸透しているのも事実です。またカッコウの異名には豆をまく季節に来ることから「豆播き鳥」というものもあります。

カッコウは実は危うい鳥?

托卵しないと子孫を増やせない鳥であるカッコウ。現在各地で自然が失われていることが問題化しています。適応力のある鳥は市街地でもたくましく生きていけますが、実際に数を減らしている鳥も少なくありません。

他の鳥がいないと増えられない。カッコウは危うさも持つ鳥です。カッコウの鳴き声は自然の一つのバロメーターといえるのではないでしょうか。

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Posted by koroton