桜【花を楽しむ品種】
桜といえば、日本では春本番を告げる花木の代表格です。満開の桜並木や公園には、多くの人々が春を満喫しに訪れます。そこまで愛されている日本の桜ですが、その種類の多さを知っている方は意外と少ないのではないでしょうか?今回は春の花の代表格、桜の中でも花を楽しむ品種を気まぐれに調べてみました。
桜とはどんな植物?
桜の基本情報
園芸分類 | 庭木・花木 |
形態 | 落葉高木 |
原産地 | ヒマラヤ(ネパール) |
樹高 | 3~20m |
開花期 | 主に3~4月【10月ごろから春まで開花する種もあり・地域差がある】 |
花色 | 白・ピンク・濃紫色・緑 |
耐寒性 | 種によって差がある |
耐暑性 | 種によって差がある |
桜の意外な原産地
近年の調査により、桜の原産地はネパールの山地であることが判明しました。
もともと桜は、主に北半球の温帯地域に多く自生している、バラ科サクラ亜科サクラ属サクラ亜属の植物です。その中でも花の美しい品種はアジアに多くみられ、特に日本に集中しています。
もちろん中国や朝鮮半島にもかなりの種類があることは言うまでもありません。日本と同じ品種も多く見られます。
中国の奥地やヒマラヤ地方にいけば、日本の桜とまた違った美しい桜があり、長く桜の原産地について論争が続いてきました。
近年になって日本や韓国、中国など、温帯各国に自生しているサクラのDNA解析が盛んに行われ、詳細に調査されたのです。その結果がネパールの山地でした。
ネパールというと「高山地帯の寒い国」という印象が強いことでしょう。しかしネパールの首都のカトマンズは、日本の首都の東京よりも年間を通して暖かいのです。
つまりネパールも気候区分では主に温帯に属する国の一つといえます。緯度から見ても日本の奄美大島と同じ位置にあり、亜熱帯に近い地域もあるのです。このことからもネパールが桜の故郷であることは、何の不思議もなかったといえます。
桜は鳥に運ばれてきた
桜は鳥に種を運んでもらい、どんどん広がっていきました。数千年前にネパールの丘陵地帯で生まれた山桜は、鳥とともにその生息域を広げていったのです。
長い年月をかけてビルマの丘陵地帯や中国の雲南省、福建省を経て、ついには日本にまで運ばれてきました。
鳥のおかげで今の日本の春の風景があるのです。
桜が春に咲く理由
桜は原産地のネパールでは秋に咲く花です。つまり本来春には咲きません。
それがなぜ春に咲くようになったかというと、こちらも科学的に解明されています。桜が春に咲くようになった理由は、原産地のネパールよりも厳しい冬の寒さが原因です。
実はネパールの首都カトマンズでは雪は降りません。ところが日本に来た桜は、それまで体験したことのない寒さにさらされることになったのです。
この冬の寒さを乗り越えるために、桜は冬に葉を落として基礎代謝を落として冬眠することを覚えました。そして花は暖かくなる春に咲かせるように変化したのです。
「十月桜」や「寒桜」のように秋から冬にかけて花を付ける桜は、祖先の姿を残した桜といえます。
ヒマラヤ桜を日本でも見れる?
実は日本にも本来のヒマラヤ桜を見ることができる場所があります。
1967年(昭和42年)8月に、東京大学に留学中だったネパールのビレンドラ元国王(当時は皇太子)が伊東市を訪問されたのです。そのとき熱海植物友の会の会員から、熱海の桜と梅の種子が献上されました。
その翌年の5月、ビレンドラ元国王より返礼としてヒマラヤザクラの種約900粒が贈られてきたのです。
種からは300本の芽が出ました。しかし害虫や寒さが原因で、開花することができた木はわずか60本だったといいます。
その後も数は減り続け、現存する原木は静岡県立熱海高校門前下の1本のみです。しかしその他にも数本の若木があり、季節には花を楽しむことができます。
桜は花の品種と実の品種(実桜:ミザクラ)がある
桜は基本的に実を付けます。しかしアジアでは花が美しい品種が多く、広く分布しているのも花を楽しむ桜です。そのため花や葉を塩漬けにすることはあっても、実を食用とすることはありませんでした。
一方でヨーロッパでは花の美しさよりも、サクランボが主となるミザクラが分布の主流です。さらに北米大陸に行くと、日本人の桜の概念からかけ離れた常緑の品種などもあります。
※実桜についてはこちらをどうぞ
桜の花言葉
桜全体の花言葉
桜全体の花言葉は「精神の美」「優美な女性」です。英語ではさらに「優れた教育」が加わります。
「精神の美」は、アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンの逸話に由来するものです。
彼が子供の頃に庭に置かれていた斧を振り回していたとき、誤って父親が大切にしていた桜の木を切ってしまいました。そのあと彼が正直に告白したところ、父親が褒めたという有名な話があるのです。
しかしこれは「嘘をついてはいけない」という教訓としての作り話ともいわれています。なお「優美な女性」の花言葉は、桜の美しさを女性に例えて付けられました。
桜の種類別の花言葉
- ソメイヨシノ:「純潔」「優れた美人」
- 枝垂桜(シダレザクラ):「優美」「ごまかし」
- サトザクラ・八重桜:「豊かな教養」「善良な教育」「しとやか」
- 山桜:「あなたに微笑む」「純潔」「高尚」「淡白」「美麗」
- 冬桜:「冷静」
- 寒桜:「気まぐれ」
桜の代表品種
桜の分類
桜はバラ科サクラ亜科サクラ属サクラ亜属の樹木です。分類方法もさまざまで、基本種の数も紹介者によって異なります。
その理由は、まずは変種を合わせれば100種を超える自生種があることです。さらに江戸時代までには栽培品種も合わせれば300種を超える品種があるとされました。
そして現在は分類の仕方によって600種を超えるといわれるほど多くの品種があるからです。
そのためここでは複数のサイトで紹介されているものから、目に付いたものをまとめてご紹介します。
山桜群
関東南部から南の地域に分布する、別名シロヤマザクラとも呼ばれる品種です。日本の桜の中でも最も代表的な桜で、古くから山に自生して親しまれてきました。花と葉が同時に開き始める特徴があり、多くの園芸品種が生み出されています。実もなりますが、苦みが強いため食用にはなりません。
江戸彼岸(エドヒガン)群
本州・四国・九州の山地に分布し、葉は花の後に出てくる品種です。その名の通り春の彼岸の頃に咲く早咲きの桜で、台湾に分布するムシャザクラや中国に分布する品種の3系統があります。
花は小ぶりでガクの下に球状の膨らみがあるのが特徴です。江戸彼岸の中でも枝が垂れ下がったものが枝垂桜(シダレザクラ)で、多数の園芸品種があります。
江戸彼岸のもう一つの特徴は、とても丈夫で長寿なことです。そのため日本三大桜の全てが江戸彼岸の系統で、国の天然記念物にも指定されています。
日本三大桜
・山高 神代桜(ヤマタカ ジンダイザクラ):樹齢2,000年以上
・根尾谷 淡墨桜(ネオダニ ウスズミザクラ):樹齢1,500年以上
・三春 滝桜(ミハル タキザクラ):樹齢1,000年以上
豆桜(マメザクラ)群
富士・箱根・伊豆を中心に自生する品種です。自生地からフジザクラ、ハコネザクラとも呼ばれます。
豆桜の名前の通りに花や葉が小さく樹高も高くなりません。それでも花をいっぱい咲かせます。
年に複数回花を咲かせる品種があることや、挿し木でも増やせることなどから、盆栽にも人気の品種です。
黒く熟した実には甘いものから酸っぱいものまでさまざまな味があるのも特徴です。
高嶺桜(タカネザクラ)群
北海道・本州中部以北の亜高山帯に自生する小高木の桜です。峰桜(ミネザクラ)の別名を持ち、花の大きさはやや小ぶりで葉も同時に出てきます。
北海道に自生するチシマザクラもこの高嶺桜の仲間です。しかしチシマザクラは葉の柄やガク付近に毛が生える点が高嶺桜と異なります。高嶺桜は冷涼な気候を好むのか南ほど高山域に多いです。また奈良県や埼玉県では絶滅危惧種としてレッドリストの指定を受けている品種でもあります。
丁字桜(チョウジザクラ)群
東北地方の太平洋側の低山地、関東地方、中部地方の山地に多く自生している品種です。
花弁は小さいですがガク筒が太くて長い形をしていることから、「丁」の字が連想されるとこの名が付きました。他の桜と違って幹は直立せず、株立ち状の木が多いこともこの桜の特徴です。
多雪地帯に多いためか低木から高低木で、押し葉にすると芽の部分が黄色く変色する変わった性質があります。
緋寒桜(ヒカンザクラ)群
彼岸桜(ヒガンザクラ)と間違えやすいことから、寒緋桜(カンヒザクラ)と呼ばれることも多い桜です。中国の冬桜花、チベットのヒマラヤザクラなどが野生種に当たります。
緋寒桜は園芸種ですが沖縄では自生も見られます。そのため沖縄で桜といえばこの寒緋桜です。花の色は濃いピンク色で、垂れ下がって咲くのが特徴です。花は散るのではなく、それぞれの花びらがくっついたまま落花する変わった特徴を持っています。
深山桜(ミヤマザクラ)群
中国南西部に5種と、日本に1種分布している品種です。日本海を取り囲むように自生しています。
中国産と日本産の物は別種と考えられていて、若木には毛が生えていることが多いのが特徴です。
開花期は遅く、他の桜と異なり小さな花が房状に咲きます(総状花序)。
大島桜(オオシマザクラ)群
伊豆七島・伊豆半島に自生している桜で、葉と花が同時に開きます。
花は大きく香りもよいだけでなく、丈夫で成長が早いのが特徴です。そのため桜の品種改良時の母種としても使われています。
若い葉の塩漬けが桜餅を包むのに使われるなど、食文化においても馴染みの深い桜です。
大山桜(オオヤマザクラ)群
本州中部以北や北海道の山地に自生している桜です。山桜よりも全体的に大柄で、花と葉が同時に出ることもあり目立ちます。
花の色も紅紫色で北海道に多いことから、別名ベニヤマザクラ・エゾヤマザクラとも呼ばれている桜です。
霞桜(カスミザクラ)群
北海道や本州、四国の山地などに自生する桜です。花と葉が同時に開き、花の色が白っぽく霞のように見えることから霞桜と付きました。花や葉に毛が生えていることが多いため、別名ケヤマザクラとも呼ばれています。自生地が同じほかの山桜と比べて、花期がずっと遅い点も特徴です。
里桜(サトザクラ)類
大島桜や山桜を母種として作り出されたと見られる品種を、総称して里桜と呼びます。人が作り出した園芸品種の総称としても使われる品種名です。異なる群の桜などを掛け合わせて作られていることから、どの群にも属さない固有の群として扱われています。ソメイヨシノもこの群です。
桜の育て方
選び方
まずは自宅の庭の広さを確認しましょう。桜は品種で育った時の大きさが異なります。しかも大木になりやすいです。
桜といえばソメイヨシノが人気ですが、数年で5mを超える大木になります。「好きだから」というだけで植えると、管理しきれなくなるので要注意です。
注意が必要な点は大きさだけではありません。根張りがよいのも桜の特徴です。
広い範囲に根を広げることから、道のそばに植えると根が舗装を押し上げてしまうこともあります。隣の家の庭にも根を張りかねないので、植え付け場所には細心の注意が必要です。
広い庭がない、でも桜が欲しいという場合には、鉢植えでも育てられる桜を選ぶとよいでしょう。「旭山桜」のように、盆栽でも育てられる桜もあります。
自宅の庭事情をよく考えた上で、桜の品種を選びましょう。
置き場所・植え付け場所
桜は日当たりと風通しのよい場所が好みです。ただしあまり風が強いと花や葉がすぐに落ちてしまいます。そのため適度に風が当たる場所を選びましょう。
鉢植えの場合も適度に屋外に出して日を当てると健康に育ちます。
土
桜は水持ちのよい肥沃な土が好みです。庭に植え付けるときには、元肥として腐葉土をたっぷりとすき込んであげます。
鉢植えの場合には、小粒の赤玉土4に腐葉土を3、黒土を3足したものがおすすめです。そのほかでは市販の庭木用培養土でもよいでしょう。
植え付け
桜の植え付けは木が休眠している間が適期です。厳寒期を避けて11月~12月上旬、2月下旬~3月中旬にすませます。
庭に植え付ける場合には、苗木の根よりも少し大きめの穴を掘り、元肥として腐葉土や緩効性の肥料を土に混ぜ込んでください。植え付けが終わったら、根付くまで木を支える支柱を添えます。
鉢植えにする場合には、苗木の根回りよりも1~2回り大きい鉢に植え付けましょう。根についた土を1/3ほど落としてから、長く伸びた根や古い根は切り落とします。
鉢底に中粒の赤玉土を敷いてから元肥を混ぜた用土を入れ、植え付けてください。鉢植えの場合も支柱を添えて、苗を支えてあげましょう。
水やり
地植えの場合は基本的に必要ありません。ただし「夏場に2週間も雨が降らない」「葉が勢いがなくなっている」といった場合には、早朝に水を与えます。
鉢植えの場合は乾燥に注意が必要です。土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。特に植え付け直後は乾燥しないように注意が必要です。
また夏場は早朝の水やりだけでは足らなくなることがあります。夕方に乾いてしまっていた場合は、追加で水やりをしてください。
肥料
桜は肥料を好みますが、追肥は根元を避けて施します。秋の終わりから冬の休眠期に、株の周囲に穴を掘って与えましょう。堆肥などの有機肥料や、緩効性の化成肥料を混ぜて入れます。
木に勢いがないようならば、花が終わった後の5~6月にも追肥をするのがおすすめです。そのときにも肥料は穴を掘って与えてください。地表にまくように与えると、根が表面に出てきてしまうので要注意です。
なお与える肥料の量は、地植えの場合は1平方メートルあたりに150gほど、鉢植えの場合は用土1Lに対して5gほどが目安となります。
植え替え
鉢植えは2~3年に1度、必ず行います。植え付けのときと同様に、休眠期の冬場12~3月が適期です。
桜は根張りがよいので、植え替えをしないと立枯れや生育不良を起こします。
そのままの鉢に植え替えるときは、伸びすぎた根や古い根を切り落としてください。ただし剪定していても大きくなりすぎたときは、根回りよりも大きめの鉢に植え替えます。植え付けのときと同様の手順で植え替えてください。
剪定
桜の剪定に適した時期は冬場の休眠期です。花が咲かなくなることがあるので、成長期の剪定は避けましょう。
毎年成長具合を見ながら樹形を整えるように切るのがポイントです。太い枝を落とすと花の数が減ることがあるため、注意しながら切ります。桜の枝を切った後は切り口から病気の元となる雑菌が入りやすいです。特に太い枝を落とした時には癒合促進剤を塗って保護しましょう。
増やし方
挿し木
挿し木の場合は、花が咲く前の2月頃か、若葉が揃った6~7月ごろが適期です。挿し穂として前年に伸びた勢いのある枝を使います。
まずは10~15cmに切った枝を2~3時間、十分に水を吸わせてください。
切り口に発根剤を塗ってから用土へ挿すのがおすすめです。赤玉土や鹿沼土に7割ほど差し込んで、土が乾燥しないように光を通すビニールなどですっぽり覆います。
育苗ポットなどを使うと根が出てきたことがわかりやすいです。発根後には鉢などに仮植えをし、冬にきちんと植え付けします。
接ぎ木
園芸品種は接ぎ木で増やす方が楽といわれていますが、難易度は挿し木よりもやや高いです。
まずは台木となる桜を用意しておきます。台木がしっかりしていないといけないので、根張りのよい勢いのある木を用意しましょう。
穂木は剪定で落とした枝を使う方法もあります。2~3個新芽がついた枝を10~15cmの長さで切り、雑菌が入らないよう癒合促進剤を塗っておくのがおすすめです。
穂木は切り口に濡らしたキッチンペーパーなどを巻いてビニールをかけ、乾燥させないように冷蔵庫で保管しておきます。時期になったらいよいよ接ぎ木です。
台木の桜を根元から4~5cm上で水平に切り落とします。次に台木の切断面に斜めに切り込みを入れてください。穂木の切り口も同じ形に整えます。
後は穂木を台木に差し込んで密着させた後、接ぎ木テープでしっかり固定するだけです。冬になって植え付けるときには、継ぎ目が完全に土に埋もれるように植えます。最初は鉢植えにして深めに植え付け、継ぎ目より下を切り落としてから植え替えるのがおすすめです。
病害虫
病気
桜にはいくつもの病気がありますが、その中でもかかりやすい病気がてんぐ巣病です。糸状菌による伝染病で、放置しておくと桜が枯れてしまいます。
てんぐ巣病の特徴は、こぶのようなものが枝にでき、そこからホウキのように多数の枝が生えることです。その枝にはほとんど花が咲くことはなく、やがて周囲の木にも伝染していきます。
一見勢いのよい枝のように見えることから、病気として認知されないこともあるようです。しかしソメイヨシノなどの人気の桜に特に発生しやすい病気として知られています。
てんぐ巣病になった場合は発病した枝を切り落として焼却処分してください。切り口には癒合促進剤を塗り、切った道具は殺菌します。
複数の枝を処理するときには、その都度道具を殺菌しながら処分することが大切です。
害虫
桜には毛虫類が多数つきます。アメリカシロヒトリをはじめ、イラガやオビカレハ、モンクロシャチホコなど、多岐にわたるため厄介です。
毛虫が発生する前に成虫が卵を産みつけにくくするとよいでしょう。剪定をきちんとして死角を減らすだけでも、毛虫を早く発見できます。
また粘着シートを桜のあちこちにぶら下げるのも効果的です。飛んできた成虫を効果的に駆除できます。
ただし毛虫やその成虫を駆除するときには、毒を持っているものもいるため注意が必要です。直接触れないように着衣にも気を使いましょう。
毛虫以外でもカイガラムシやアブラムシ、カミキリムシの幼虫などもつきます。対処方として薬剤散布も視野に入れて管理することが大切です。
桜全体をよく観察し、必要な対策をとるようにしましょう。
桜の名所
桜の名所となるとあまりにも多すぎるので、定番の三大名所と意外な場所を1ヶ所ご紹介します。
【青森県】弘前公園
公園内の様子はこちらの画像でどうぞ。
寿命はわずか60年といわれているソメイヨシノですが、ここでは樹齢約130年という日本最古のソメイヨシノを見ることができます。
日本最大の5mの幹を持ったソメイヨシノなど、ここでは約50種2,600本の桜が咲き乱れる圧巻の風景が見ものです。「弘前さくらまつり」などのイベントも楽しめます。
【長野県】高遠城址公園(たかとおじょうしこうえん)
公園内の様子はこちらの画像でどうぞ。
高遠城址公園は、明治政府の打ち出した廃城令によって城が壊され、そのあと明治8年(1875年)に公園となりました。このとき高遠藩の旧藩士たちによって桜が移植されたことが桜の名所としての始まりです。
現在では樹齢130年以上の古木20本、50年以上のもの500本に若木を加え、合計約1,500本にもなるタカトオコヒガンザクラが楽しめます。
秋には紅葉も楽しめるおすすめのスポットです。
【奈良県】吉野山
詳しい様子はこちらの動画でどうぞ。
ユネスコ世界遺産にもなっている吉野山は、シロヤマザクラを中心に約200種3万本の桜が密集しています。
そんな吉野山は山下から山上へ下千本(しもせんぼん)、中千本(なかせんぼん)、上千本(かみせんぼん)、奥千本(おくせんぼん)と呼ばれ、下から順に開花していく様子を長く楽しめるのが特徴です。
ちなみに吉野山に桜が多い理由は、蔵王権現(ざおうごんげん)に祈願する際に、ご神木である桜の苗を寄進する風習が起こったことに由来します。そのため平安時代から多くの桜が植樹されてきて今の吉野山になったのです。
【ワシントン】ポトマック川の桜並木
詳しい様子はこちらの動画でどうぞ。
海外のソメイヨシノの名所にワシントン・ポトマック川の桜並木があります。
1885年にナショナル・ジオグラフィックス協会の女性理事のエリザ・シドモア女史が、米陸軍に提案したことがきっかけです。当時のニューヨーク総領事で女史とも知人だった水野幸吉氏が協力して計画は始まりました。
水野氏は日露戦争を講和に導いたアメリカに恩義を感じていたといいます。そこでアメリカの政治背景も受けて、当時の日本政府に働きかけたのです。
そして当時の東京市長であり、水野氏同様にアメリカに恩義を感じていた尾崎行雄氏が準備に当たりました。
しかし最初に送った2,000本の桜の苗木は、長い船旅の間に病害虫に侵されてしまいます。結局すべてが焼却処分されてしまったのです。
そのため荒川で採取したソメイヨシノなどの穂木を兵庫県伊丹市の台木に接ぎ木し、健康な苗木を用意しなおしました。さらに青酸ガスで燻蒸して害虫駆除も徹底してから送りなおしたのです。そしてついに12種類・3,020本の苗木をすべて無事に届けることに成功しました。現在ではソメイヨシノとカンザンという品種が多くを占めています。
日本の春を象徴する花
桜と一言でいってもさまざまな種類がありますが、あなたはどの桜が好きですか?私個人は一重で素朴な山桜か枝垂桜(シダレザクラ)が好きです。
それでも種類を問わず桜に春を感じるのは日本人ならではだと思います。世界でも桜のファンは増えていますが、いつまでも変わらない景色を楽しみたいものですね。