アイフェイオン【庭の草木や花々】
ふきのとうが顔をのぞかせると、後を追うように咲き始める花があります。アイフェイオンです。太陽に向かって咲きそろった姿は、小さめの花ながらなかなか見応えがあります。そんなアイフェイオンについて、気まぐれに調べてみました。
アイフェイオンってどんな植物?
アイフェイオンの基本情報
園芸分類 | 球根・草花 |
形態 | 多年草 |
原産地 | 南アメリカ |
草丈 | 10~25cm |
開花期 | 3~4月(パルビフローラは11~12月) |
花色 | 白・ピンク・黄・青 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
アイフェイオンの特徴
別名「ハナニラ」とも呼ばれるように、葉や球根が傷つくとニラのような臭いがします。
分類がめまぐるしく変化した植物で、現在はネギ亜科アイフェイオン属です。しかしいまだにネギ科やヒガンバナ科、ユリ科と科名は安定していません。
アイフェイオンは丈夫な秋植え球根です。花壇に植えたまま放置しても、春には星形の花を咲かせます。
花つきと花持ちもよいので、まだ花の少ない時期に長く楽しめる点も人気の理由です。
アイフェイオンは光に向かって花を咲かせます。そのため夜や曇り、雨の日には花を閉じたまま開きません。晴れた日には太陽を追うように花を咲かせる、動きのある植物です。
アイフェイオンは明治の中頃に入ってきた花です。最初に輸入されたのは「ユニフロルム」という、アルゼンチン原産のアイフェイオンでした。種がつきやすくよく増えるため、今では各地で自生する帰化植物にもなっています。
アイフェイオンには毒がある
傷をつけるとニラと同じような臭いがし、葉も細長く見た目が似ているアイフェイオン。そのため稀にニラと間違えて食べてしまう方がいます。
しかしアイフェイオンは毒性を持った植物です。そのため誤食するとひどい下痢を起こします。
もし間違えて食べてしまったときは、すぐに病院へ行って診察を受けてください。それでもしばらく軟便が続くほど強い毒性を持っています。
間違えて誤食しないためにも、ニラの近くに植えたりしないようにしましょう。
アイフェイオンの花言葉
「悲しい別れ」「耐える愛」「恨み」「卑劣」「愛しい人」「星に願いを」です。
「悲しい別れ」「耐える愛」「愛しい人」といったどこか物悲しい花言葉は、花の色からつきました。白や淡いブルーといった色が「悲しさ」につながったのです。
また乾燥した土地でも旺盛な繁殖力を見せることから、「耐える」ことが連想されました。
一方で傷つけられると刺激臭がすること、毒を持っていることから、「卑劣」「恨み」という花言葉になったと推察されています。
最後の「星に願いを」は、花の形から容易に連想できる花言葉です。
アイフェイオンの品種
アイフェイオンの品種の特徴
原種とされるアイフェイオンは南アメリカに約25種類あります。しかし園芸用で売られているアイフェイオンの中には、異なる属の品種も含まれているのが現実です。
さらに品種によっては先祖返りもしやすいので、気がついたら植えた覚えのないアイフェイオンが咲いている、なんてことも。
そんなアイフェイオンの代表品種をいくつかご紹介します。
ウィズレーブルー
日本で最も目にするアイフェイオンの品種・ユニフロルムに含まれる一品種です。藤青色の美しい花が人気に拍車をかけています。花によい香りがあるのが特徴です。
ロルフフィドラー
ユニフロルムに似た品種ですが、より葉が短く、花も肉厚で丸みを帯びているのが特徴です。花はきれいな青色でかわいらしさがあります。
ピンクスター
青系統の色が多いアイフェイオンの中でも、ピンク色の花を咲かせる品種の代表格です。
ホワイトスター
白花のアイフェイオンの代表品種です。花びらの中央に薄紫色の線がとおっています。
黄花ハナニラ
いくつか種類があり、分類も諸説ある品種です。
細くとがった葉と鮮やかな黄色い花が特徴で、一般的な品種よりも早く2月ごろから咲き始めます。
ノトスコルダム属に分けられる別の植物が混ざっていることもある品種です。
パルビフローラ
ユニフロルムと同じ平たい葉を持つものの、開花はずっと早く11~12月です。花の少ない季節に白い花を咲かせます。流通名はアイフェイオンですが、トリスタグマ属に分類される別の植物です。
アイフェイオンはこのほかにも園芸品種が豊富
アイフェイオンにはまだ多くの品種があります。好みの色があったら育ててみてはいかがでしょうか。
アイフェイオンの育て方
日当たり
日当たりと風通しのよい場所を好みますが、半日陰くらいなら順応できる植物です。
光に反応する性質上、日当たりのよい場所と半日陰とでは、開花時期や花の開く時間にずれが出ます。
土
水はけのよい土が適していますが、基本的に土質は選びません。あまりにやせた土地や水はけの悪い場所でない限り、増えすぎに注意が必要になるほどです。
そのため市販の培養土で問題なく育ちます。
植え付け
アイフェイオンは夏から秋にかけて球根が出回ります。冬咲きのパルビフローラは9月中に、その他の品種は9~11月に植え付けてください。
植え付けが遅くなりすぎると、球根が乾いて花も小さくなってしまいます。
鉢植えの場合
市販の培養土で植え付けます。
自分で培養土を配合するときは、中粒の赤玉土5に腐葉土3、酸度の調節をすませたピートモス2で混ぜ合わせれば大丈夫です。そこに元肥として緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおけばしっかり育ちます。
アイフェイオンは草丈が低くて花も小さいことから、小鉢作りがおすすめです。直径12cmの鉢なら6球、直径15cなら10球ほどを目安に、球根の頭が隠れる程度に植え付けます。
植え付け後はたっぷり水を与えてください。
地植えの場合
株間を5cmほど開けて球根の頭が隠れる程度に覆土してください。
有機質の多い土地に植えると根張りがよくなるため、早々に立派な花を咲かせるようになります。球根を植え付ける前に腐葉土などをすき込んでおくと、水はけもよくなるのでおすすめです。
植え付け後はたっぷり水を与えましょう。
水やり
鉢植えの場合でも雨だけで十分育つことが多い植物です。ただし乾燥しすぎると花が少なくなるため、鉢土を乾かさない方がよいでしょう。7~9月は休眠期なので水やりは不要です。
地植えにした場合は、よほど雨が降らずに乾燥した場合を除いて、水やりはほとんど必要としません。
肥料
地植えも鉢植えも基本的には元肥だけで大丈夫です。
しかし追肥を与えれば、その分多くの花を咲かせます。葉が出始めたころに緩効性の化成肥料を置き肥えしてください。生育促進効果が得られ、花の数が増えます。
花の後にはカリ分が多い肥料を与えましょう。
植え替え
地植えの場合には植えっぱなしで大丈夫ですが、花付きが悪くなった場合は植え替えを行います。アイフェイオンは繁殖力が強いため、花の咲かない小さい球根ばかりになっていることがあるためです。植え替えは9~11月ごろが適期になります。このときも冬咲きのパルビフローラは早めに植え替えをすませてください。
増やし方
球根で増やす
植え替えのときに、小さい球根も間隔をあけて植え付けて肥培します。それだけで簡単に増やせる植物です。
種よりも扱いが簡単なので、小さい球根も大事に植え付けて増やしましょう。花の頃には見応えのある花のじゅうたんが完成します。
種で増やす
増やすために種を取る場合は、終わった花を摘まずにそのまま熟させます。熟した種が落ちないように、小さくて軽い袋を付けておいてもよいでしょう。
5~6月に培養土に直接まいておくと、秋になってから発芽します。
種を採る予定がないときは、花がらは摘み取ってください。
病害虫
アイフェイオンは丈夫なため、基本的に病害虫の心配はありません。
しかしコガネムシの幼虫には注意が必要です。堆肥や腐葉土を肥料として使うとき、中にコガネムシの幼虫が紛れ込んでいることがあります。
コガネムシの幼虫は根を食害することがある厄介な害虫です。被害を受けた球根は元気がなくなり、葉が黄ばんで枯れてしまいます。
そのような株が見つかったときは根元を掘り返し、幼虫を駆除してください。
春の星
毎年春には母がもらってきた2種類のアイフェイオンが自由気ままに咲き誇ります。
特に何の手入れもせずにほったらかしです。しかし庭の花が少ない時期に咲くため、存在感は素晴らしいものがあります。
これからも自由に春を彩ってくださいね。