ホオジロ【庭にくる鳥たち】
庭のジンジャーリリーの花穂のてっぺんにホオジロがヒラリ。庭にエサを探しに来たようです。秋や冬になると周囲の色に溶けこんで目立ちません。しかし目にする機会があるとほっこりします。そんなホオジロについて、気まぐれに調べてみました。
ホオジロってどんな鳥?
ホオジロの特徴
ホオジロについての特徴をまとめると以下になります。
科目 | スズメ目ホオジロ科ホオジロ属 |
体長 | 16~17cm【尾が長い分スズメより大きく見える】 |
体重 | 約21g |
翼開長 【翼を広げた長さ】 | 約24cm |
体色 | 雌雄異色 オス ・目の上に白い帯 ・頬(目の下)とのどは白 ・頭は黒と褐色の羽が混じり、短い冠羽がある ・くちばしは太く短い円錐形 ・くちばしの付け根から目を通り耳の周辺までが黒い ・目の下の白斑を囲むように黒い線 ・首から下は全体的に赤褐色 ・背中には黒い縦しま ・尾羽の両外縁は白い メス ・オスより全体的に淡い ・顔のラインも褐色 |
ホオジロの名前の由来
ホオジロは漢字で「頬白」と書きます。かつて仮名表記をする時も「ホホジロ」と書いたように、目の下の白い部分から来た名前です。
頬の白い部分の大きさには個体差があるので、慣れると見分けがつくようになります。
ホオジロのオスとメスを見比べると
メスはオスよりも全体的に色が薄いのが特徴です。顔の黒い部分もオスと違って茶褐色をしています。体全体で見ても黒い部分はオスより少なく、全体的に淡い色をしているので見分けやすいです。
若鳥は顔の色分けが不明瞭で、同じ鳥とは思えないくらい地味に見えます。全身の色合いも黒い差し色が少なく、慣れないとほかの鳥と見分けにくいです。
ちなみにこちらがホオジロのオス。
こちらがメスです。
ホオジロの鳴き声
ホオジロにもさえずりと地鳴きの2つの鳴き方があります。地声はスズメのように「チチッ」と2、3回短く鳴くだけです。
しかしホオジロのさえずりは個性的で、昔から聞きなしされてきました。
「聞きなし」とは鳥や動物の鳴き声を人間の言葉に当てはめて聞くことです。意味のある言葉を当てはめるのが一般的なため、実際に聞こえるのとは違う場合もあります。
ちなみにホオジロの鳴き声は古くからいろいろな聞きなしがされてきました。「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」や、「源平つつじ白つつじ」などが有名です。
今では「札幌ラーメン味噌ラーメン」なんていうのもあるといいます。
ではそのさえずりを地鳴きとセットでどうぞ。
ホオジロの移動方法
ホオジロは移動するとき、スズメと同じくホッピングします。2本の足で跳ねながら移動するのです。
途中止まっては種などをつついて食事することもあります。
ホオジロの生態
概要
ホオジロの生態をまとめると以下になります。
分布 | ・シベリア南部 ・中国から沿岸地方 ・朝鮮半島 ・日本(種子島・屋久島以北) |
分類 | 留鳥【寒冷地では夏鳥】 |
生息域 | ・平地や丘陵地の森林周辺 ・農耕地・草原・河原などの明るく開けた場所 ・地上や低い樹上で活動 ・丈の高い草の茂みに潜んでも高い場所にはほとんど行かない |
食性 | 雑食【繁殖期は昆虫類・秋~冬は植物の種子】 |
性格 | 基本的に単独行動を好む |
天敵 | 猛禽類・カラス・猫・ヘビなど |
寿命 | 野性下で確認された最長は6.6年【足環による調査で判明】 |
ホオジロは基本は「留鳥」、ところにより「夏鳥」
ホオジロは東アジアの温帯域に広く分布している小鳥で、渡りをしない留鳥です。
ただし亜寒帯である北海道やサハリン、千島列島などでは夏鳥になります。寒くなる冬には寒さを避けて南方などの暖地に渡る漂鳥であり渡り鳥です。
ホオジロは時期によって食性が変わる
ホオジロは時期によって食性が変わるのが特徴です。普段は草の種を好んで食べますが、繁殖期には昆虫類に変わります。
補色対象はバッタなどのやや大きめの昆虫から、毛虫やアオムシなどの害虫までと幅広いです。
ときには農地に巣を作りますが、害虫を食べてくれるのでそっとしておくとよいでしょう。
ホオジロの繁殖
特徴
ホオジロの繁殖形態をまとめると以下になります。
繁殖期 | 4~7月 |
つがいの形態 | 一夫一妻制【一夫二妻制という説もあり】 |
繁殖回数 | 2回ほど【天敵による再営巣がある】 |
営巣場所 | 地上や1m以下の樹上【再営巣は樹上が増える】 |
巣の形・材料 | おわん型 材料:主に枯れ草 |
巣作り担当 | メス |
抱卵担当 | メス |
子育て担当 | つがい |
卵の数 | 3~5個【1日1個ずつ早朝に産む】 |
孵化までの日数 | 約11日 |
巣立つまでの日数 | 約11日【巣立ち率は20~35%】 |
ヒナは巣立った後も約1か月間は親からエサをもらいながら生活します。
ホオジロは以前はカッコウに托卵されていた
ホオジロというと、以前はカッコウの托卵先として利用されることも多い鳥でした。しかし数十年の年月をかけ、ホオジロはカッコウの卵を見分ける術(すべ)を身につけたというのです。
そのためカッコウは近頃は別の鳥の巣に托卵することが増えました。ホオジロはようやく自分の子供だけを育てられるようになったのです。※カッコウについてはこちら
ホオジロの仲間
ホオジロには亜種が5種類いる
ホオジロには5種類の亜種がいます。サハリンや千島列島、日本に分布するのがホオジロです。
また中国の北西部にはニシホオジロ、シベリア中南部や中国北東部、北朝鮮にはモウコホオジロ、シベリア南東部とモンゴル王国にはシベリアホオジロ、中国東部と韓国にはチョウセンホオジロがいます。
東アジアでも海岸沿いの地域に多く分布している鳥といえるでしょう。
ホオジロは地域によって要保護指定の鳥
ホオジロの個体数は安定しているものの、地域によっては保護が必要とされる鳥です。
日本のレッドデータ検索システムによると、千葉県では絶滅危惧ll類の要保護生物に指定されています。埼玉県でも地帯別危惧の指定を受けているなど、場所によっては数が減っている鳥です。
ホオジロは自治体の鳥として人気
ホオジロはそのかわいらしさから多くの自治体の鳥として人気です。平成の大合併の前から人気があり、合併前はホオジロだったという自治体も少なくありません。
現在でも千葉県で県の鳥に指定されているほか、さまざまな自治体の鳥として愛されています。
庭にくるホオジロたちへ
夏場は熱中症にかかりやすいため、どうしても雑草が繁茂しやすい我が家の庭。そんな我が家にとってのホオジロは、夏はカキの木につく害虫を、秋以降は雑草の種を掃除してくれるありがたい鳥です。
どうかこれからも庭の管理の手伝いをよろしくお願いします。