スズメ【庭にくる鳥たち】
ふと庭をみると、決まってよく遊びにくる鳥たちがいます。毎日のように見る鳥は定番ともいえるスズメです。ときにはガラス戸にぶつかってくる危なっかしい子もいるスズメ。そんな個性あふれるスズメを、気まぐれに調べてみました。
スズメってどんな鳥?
スズメの特徴
スズメの特徴をまとめると以下になります。
科目 | スズメ目スズメ科スズメ属 |
体長 | 14~15cm【ものさし鳥(鳥を測る時の指標となる鳥)の1つ】 |
翼の長さ | 6.7~7.4cm |
尾羽の長さ | 4.3~4.9cm |
くちばし | 長さ0.9~1.2【短くて太い円錐形】 |
足 | かかとから指の付け根まで1.65~1.8cm【淡褐色】 |
体重 | 18~27g |
体色 | 雌雄同色 ・頭部は赤茶色・背中は褐色で縦に黒斑がある ・翼に細い白帯が2本ある ・頬から首の後ろ、腹にかけて白色 ・耳周りの耳羽と目先からくちばし、のどにかけて黒い |
幼鳥の体色 | 雌雄同色 ・くちばしは淡黄色(成鳥でも繁殖期終わりに根元が黄色に変色する個体もいる) ・全身茶褐色で腹はやや薄い ・頬やのどの黒い部分が不明瞭 |
スズメの基亜種の学名はP. montanus. montanusです。
しかし日本のスズメの学名はP. montanus. saturatusであり、亜種スズメの1つとされます。
スズメの名前の由来
スズメは漢字で『雀』と書きます。この漢字をばらすと、「小」と「隹(尾の短いずんぐりした鳥)」で「小鳥」です。
語源としてスズメを見た場合はいくつか説があります。
一つ目が「スズ」は鳴き声の「チュンチュン」です。そこに「鳥」を表す接尾語の「メ」で「スズメ」になります。
二つ目が接頭語の「ササ(小さいものという意味)」から「スズ」に変化したとする説です。漢字だけでなく、名前そのものも小鳥という点がスズメらしいといえます。
スズメの鳴き声
スズメといえば「チュンチュン」と鳴くと思われています。しかし「チュン」を基調に変化をつけて鳴くのが一般的です。
尾をあげ胸もそらせ、「ジュクジュクジュク」と激しく鳴くのは威嚇とされます。縄張りへの侵入者に警告しているのです。
交尾の時にも「ヒヨヒヨヒヨ」と細く鳴きます。
スズメの個の鳴き声は【こちらの動画】でどうぞ。
集団での鳴き声は【こちらの動画】でどうぞ。
危険を知らせるときの鳴き声は【こちらの動画】でどうぞ。
スズメの生態
スズメの特徴
スズメの生態をまとめると以下になります。
分布 (全亜種含む) | ・ポルトガルから日本までのユーラシア大陸広域 ・ユーラシア大陸の北緯60数度が上限 ・インドにはほとんどいない ・ボルネオ島やスマトラ島、ジャワ島、フィリピンなど熱帯・亜熱帯地域にも分布 ・アメリカミズーリ州とイリノイ州にも移入 |
分類 | 留鳥【一部で漂鳥・夏鳥(シベリアで繁殖するグループ)・旅鳥】 |
生息域 | 日本では北海道から沖縄まで全土に分布(小笠原諸島を除く) |
生活圏 | 都市・農村・里など人の生活圏 |
食性 | 雑食性 ・夏は繁殖のため昆虫類を好む ・イネ科の種子を中心に花の蜜、菓子、生ゴミまで食べる |
性格 | 人に対して警戒心が強い |
天敵 | ヘビやカラス、中型以上の猛禽類(オオタカやハヤブサ、フクロウほか)など |
寿命 | ・自然下では平均2年(ただし研究途上) ・飼育下での最長記録は15年 |
スズメは亜種が多く、日本に住む個体群以外も広範囲で分布しています。
日本の個体群は基本的に留鳥です。一般的な移動距離は5km以内、広くても25km以内で生活します。
しかし中には長距離を移動する個体群もいて、新潟から岡山県や高知県まで移動した記録も。
スズメの身体能力
地上での移動は両足で飛び跳ねるホッピングです。飛行能力も高く、飛ぶ方向を急変更できます。
スズメは大のキレイ好き
キレイ好きで1日1度は砂浴びか水浴びをする鳥です。砂浴びと水浴びの両方を行う鳥は珍しい部類になります。
スズメの繁殖
スズメの繁殖の特徴
スズメの繁殖形態をまとめると以下になります。
繁殖期 | 主に3~8月【場所によっては2~9月】 |
繁殖回数 | 年2回程度 |
縄張りの広さ | 巣の周りだけ【集団で営巣することが多い】 |
つがいの形態 | 一夫一妻制 |
営巣場所 | ・人の身長より高い場所 ・軒の隙間・空き家・換気扇カバーや煙突など直径3cmほどの隙間がある場所 ・木のうろや茂み ・ほかの鳥の巣【奪うこともあり】 ・スズメバチの古巣 ・猛禽類の巣の下裏側など |
巣の形・材料 | 巣の形状 ・出入り口まで巣材を積み上げる ・横が出入り口の球形 巣の材料 ・枯れ草など草の葉 ・犬や猫など動物の毛 |
子育て担当 | つがいで行う |
卵の大きさ | 長径1.7~2.25cm、短径1.3~1.55cm 【灰白色で褐色や灰色の斑入り】 |
卵の数 | ・1日1個ずつ産卵し、4~8個産む ・平均は5~6個(75%を占める)【最高記録は秋田県の9個】 |
孵化までの日数 | 10~14日 |
巣立つまでの日数 | 14~18日 |
スズメの営巣の特徴
スズメの営巣は集団で行う点が特徴です。一方でツバメやムクドリなどの巣を奪うことも珍しくありません。
巣の奪い方はかなり強引です。抵抗されても巣材をどんどん運び込み、目的とする巣の上に自分たちが営巣します。巣を作る場所としてのっとるのが正しい見方です。
ツバメはともかくムクドリの場合、逆にやり返すこともあります。やり方は同じで、どちらも子孫を残すために必死です。
そこまでして育てたヒナは、巣立ち後の10日間で親鳥から生き方を学びます。
非繁殖期は主に若鳥だけで集団ねぐらを作るのが特徴です。屋根などの隙間を見つけ、単独で過ごす個体も多くいます。そんなスズメの求愛行動は熱烈です。【こちらの動画】でどうぞ。
強いスズメのオスは見た目に出る?
のどの黒い部分が大きいオスは、強くてモテる。一般に言われていますが科学的根拠はありません。研究途上ではあるものの、因果関係も示されていないのが現状です。
ヨーロッパに住む近縁のイエスズメでも、研究結果は肯定的と否定的、両面があります。日本のスズメは研究そのものが遅れているため、明言できません。
日本に住むスズメの仲間
主に2種類のスズメが生息
日本に住む主なスズメ属は、スズメとニュウナイスズメの2種です。
スズメとニュウナイスズメは生息域も異なるため、一緒に見る機会がないともいえます。まれにスズメの群れにニュウナイスズメが混ざっている程度です。
ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメの特徴は以下になります。
科目 | スズメ目スズメ科スズメ属 |
体長 | 約14cm |
体重 | 15~25g |
体色 | 雌雄異色 ・オスはスズメよりも鮮やかな栗色 ・スズメと違い頬に黒斑がない ・メスは薄茶色で太い黄土色の眉班がある |
ニュウナイスズメの生態
ニュウナイスズメの生態は以下になります。
分布 | ・北限ロシア・東限日本・南限インドの一部・西限アフガニスタン ・東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジアの広範囲 |
繁殖域 | ・北海道から本州中部以北 ・北海道では平地の林 ・本州では山地 |
分類 | 漂鳥 |
生息域 | ・北海道から本州中部以北で夏鳥 ・関東以南の暖地で冬鳥 |
生活圏 | ブナなどの落葉広葉樹林や農村地帯 |
食性 | 雑食性【主に穀物や草の種、昆虫、クモなど】 |
繁殖期 | 5~7月 |
卵の数 | 4~6個 |
寿命 | 平均2年ほど |
繁殖は森の中で行うため、害鳥面が強いスズメです。かつては大規模に稲を食害し問題視されました。
現在理由は不明ですがほとんど現れなくなり、被害も小さくなっています。
ニュウナイスズメの名前の由来
ニュウナイスズメの由来は、3説が有力視されています。
- スズメにある黒斑がないことから、ほくろの古名にふ(斑)ないスズメでニュウナイスズメ
- 新米などの収穫物を調理し味わう新嘗(にいなめ)。人よりも早く新米をついばむことから「新嘗雀」がなまってニュウナイスズメ
- 平安時代のこと。恨みを持った貴族が転生したスズメに、納税米を食い荒らされたという伝説から「宮中に入るスズメ」すなわち「入内(にゅうない)雀」
日本にも多くいるスズメの仲間
スズメの属するスズメ目は、現在確認された鳥・約1万400種中、半数を超える約6,200種が在籍する鳥類最大のグループです。そのため意外な鳥も多く在籍しています。
スズメ目の特徴
スズメ目は鳴管と呼ばれる、さえずるための機関が発達している鳥たちです。
鳴管の構造の違いなどから、スズメ亜目(鳴禽類)、タイランチョウ亜目(亜鳴禽類)、イワサザイ亜目に3分されています。
熱帯から亜寒帯まで、南極大陸をのぞいたあらゆる陸地に存在するグループです。ただし海鳥皆無、淡水性水鳥も数属、ほとんど小鳥で例外的に中型種がいる程度という特徴を持ちます。
スズメ目各グループの特徴
各グループの特徴は以下になります。
スズメ亜目 | さえずる鳥が多く世界中に分布【約4,900種】 |
タイランチョウ亜目 | 南アメリカを中心に分布【約1,300種】 |
イワサザイ亜目 | ニュージーランドに分布【3種1科のみ】 |
大派閥ゆえに分類は時代ごとで大きな変遷を見せました。そのため、細かい分類にも新旧がつくものが目立ちます。
スズメ目に囲まれている私たち
カラスはスズメ亜目でカラス上科として大派閥を持っている鳥です。小鳥が中心のスズメ目では大型になります。
さえずる小鳥が多いスズメ目らしい鳥なら、古くから日本で愛されているウグイスもスズメ目の鳥です。夏を感じさせるツバメや、声が大きいヒヨドリ、ムクドリなど、普段私たちはスズメの仲間に囲まれて暮らしているといえます。
スズメは縁起のよい鳥
スズメは「厄をついばむ鳥」
スズメは鳳凰のヒナともみなされ、めでたい鳥として昔から愛されてきました。
まれに生まれる羽の色素を持たない白スズメは、瑞兆として天皇に献上されたのです。実際、聖武天皇や桓武天皇などに献上された記録が残っています。
そのようにめでたいことがあったときには、わざわざ元号まで変えたというのです。
そんなスズメは厄をついばみ家内安全や商売繁盛をもたらす「寿徳」「福徳」「財徳」の象徴でした。
風水でもスズメが巣を作るのは縁起のよいこととされています。
福来(ふくら)スズメ
冬の寒さしのぎで、スズメは羽に空気を含ませ丸く膨らんで見えます。
そんな丸い姿のスズメは「ふくらスズメ」と呼ばれ、さまざまな当て字がされました。「福良雀」「福来雀」と、どれも縁起のよい字が当てられています。
当て字の内容でもわかるように、「ふくらスズメ」は豊かさを象徴する縁起物です。
より縁起のよい組み合わせも
「竹にスズメ」は取り合わせのよいものとして、例えでも使われる縁起物です。そのため古くから上杉氏や伊達氏など、多くの家紋にも取り入れられました。
縁起物のスズメと生命力みなぎる竹を組み合わせることで、子孫繁栄・一族繁栄を意味したのです。
スズメにいかに多くの願いを込めてきたかがわかります。
スズメは益鳥?害鳥?
海外ではこんな昔話も
かつてドイツがプロイセンという国だった時のことです。
国王フリードリヒ2世が、好物のサクランボを食害するとスズメを駆除するよう命令しました。命令は功を奏し、スズメの数は減りました。
すると害虫が大発生し、さくらんぼの木は葉を食い荒らされてしまいました。害虫を食べるスズメがいなくなってしまったためです。
その後フリードリヒ2世は反省し、野鳥の保護に努めたといいます。
スズメが益鳥でもあるというわかりやすいエピソードです。
中国で実際にあったこと
1955年に中国政府はスズメを「四害」の1つとして撲滅すべく行動しました。多い時には11億羽のスズメが駆除されたのです。
その結果として害虫が大繁殖し、農作物は大打撃を受けました。ほかの農業政策も失敗した結果、2000万人が餓死したといわれています。そのため1960年にはスズメを「四害」から除外しました。
スズメが減るとどうなるか、よくわかる事実です。
結論は?
スズメは益鳥です。
確かに稲もついばむ点では害鳥といえます。しかし繁殖期にどれほど多くの害虫をとってくれているか、歴史が証明しているのは間違いありません。
スズメは一面だけを見て判断すると危険である、そう教えてくれる鳥です。
スズメが恐竜?
スズメが恐竜として認められる理由
スズメは恐竜としての定義を満たした生き物です。
では恐竜の定義とは何でしょう。『鳥とトリケラトプスの直近の共通祖先と、すべての子孫』です。
もっと正確にいうなら、『竜盤類か鳥盤類のどちらかであれば恐竜』となります。そして鳥は竜盤類の代表としてあげられる生き物です。
ちなみにトリケラトプスは鳥盤類の代表としてあげられています。鳥盤類ならトリケラトプスでなくてもよいわけです。以上の観点から、スズメは恐竜として公式に認められています。
鳥類は恐竜と同じ先祖から分かれた生き物
鳥類は竜盤類の獣脚類に分類される生き物です。
獣脚類は細かく枝分かれしています。鳥の先祖となる原鳥類が現れたのは、ティラノサウルス類と分かれた後です。
原鳥類は鳥類とデイノニコサウルス類とに分かれます。デイノニコサウルス類は鳥類と同じく、羽毛の生えた恐竜でした。しかしほかの恐竜と同様にすべて絶滅してしまいます。
仲間である恐竜たちが絶滅した中で、鳥類だけが生き残ったのです。
魚竜や首長竜、翼竜は?
魚竜・首長竜・翼竜はただの大型爬虫類です。恐竜ではありません。
双弓類と呼ばれる一群から、まずはイクチオサウルスなどの魚竜類が分かれました。さらに分かれた別グループからはフタバスズキリュウなどの首長竜類が現れます。
恐竜が現れるグループからは、プテラノドンなどの翼竜類が早期に分かれていきました。このように恐竜と思われている多くの巨大爬虫類は、実は別のグループなのです。
典型的な違いは歩き方
恐竜は直立歩行する爬虫類です。関節は曲げず、まっすぐな状態で足を出します。
それに対し、一般的な爬虫類は足の関節を曲げて歩くのが普通です。恐竜の定義に「直立歩行する爬虫類」とあるのもこのためといえます。
スズメは飼ってはいけない鳥
捕獲は禁止されている
スズメは「鳥獣保護法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)」により保護されています。狩猟するなら狩猟免許を、捕獲するには捕獲許可の申請が義務です。
つまり、どちらかの許可を取得していないと、手を出してはいけない鳥なのです。
また環境省からも「鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針」というものが出されています。
この中で「鳥獣は本来自然のままに保護することが望ましいという考え方に従い、その規制の強化に努めるものとする」と明記されているのです。そのためスズメをペットとするための捕獲は、実質認められていません。
例外もある
スズメは鳥獣保護法では狩猟鳥です。そのため11月15日~2月15日の間なら、銃や罠を使用しないという制限付きで誰でも捕獲できます。
ただしそのままペットとして飼育する場合には、飼養許可の申請・認可が必要です。
スズメに巣を作られた時の対処法
スズメの繁殖期に一般人は捕獲できません。卵も鳥獣保護法で保護されるため、産卵された時点で巣の除去は不可能です。
風水で縁起のよいこととされても、実際に巣を作られた場合、フン害や騒音被害が発生します。そのため巣を除去したいと思う人も少なくありません。
産卵される前の巣なら除去できます。産卵された後は、特別許可を取った業者でもないと、除去した時点で違法行為です。スズメに巣を作られ産卵された時は、ヒナが巣立ってから除去しましょう。待てないときは自治体に相談し、業者を紹介してもらってください。
スズメのヒナをみつけたときの対処法
巣から落ちたスズメのヒナをみつけたときは、むやみに保護してはいけません。鳥獣保護法に抵触するからです。
すぐ近くにある木の枝などにヒナを移し、離れてそのまま2~3時間ほど放置します。親鳥がくる場合があるからです。親鳥がきたら後はそのまま任せます。
スズメのヒナが衰弱している場合
衰弱している場合や親鳥がこないときには、まず自治体に連絡を入れましょう。自治体でも専門の窓口を用意していることが多いです。指定の動物病院を教えてもらえる場合もあります。
スズメのヒナを保護した場合
自治体の指示などで保護した後は、日本野鳥の会などに連絡して専門家へ預けてください。野鳥のヒナを育てるのは容易ではありません。専門家に任せた方が安心です。
実際スズメは人懐こく賢い鳥ですが、いざ飼うとなるといろいろ手間がかかります。飼いにくい鳥にあげられるほどです。
理由は餌を大量に必要とするためフンの量が多いことが1つ。そして砂浴びも大好きなことから、周囲に大量の餌やフンを跳ね飛ばすためです。これらの理由から、むやみとペット化するのに向かない鳥でもあります。
自治体によって対応が違う
スズメを意図して捕まえる狩猟や捕獲は、許可が無ければ法律で禁止されています。しかし傷ついたり巣から落ちたりしたスズメを保護した場合、都道府県知事などの許可を得ることで飼えるのです。
ただしこの飼育許可の取得には、各自治体でも対応にばらつきがあります。たとえ保護のためでも、無許可で飼うことは鳥獣保護法では禁止事項です。
違反すれば罰則があり、捕獲と判断されると1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑になります。
スズメだけでなく、野生の生き物は人と共通する感染症にかかる危険性も無視できません。何かしらの理由で生き物を保護したときは、まず自治体に連絡しましょう。そして適切な対応法を教えてもらうようにするべきです。
スズメの数は減少中
スズメはかつては貴重な食料だった
スズメは高栄養価な食材としても珍重されてきました。食が豊かになり需要は減りましたが、今でも京都の伏見稲荷大社門前を代表する名物です。
狩猟者の高齢化にスズメ自体が減ったこともあり、捕獲数は減少しています。
スズメは環境省の調査でも減少
2021年10月、環境省が20年ぶりの個体数調査で、スズメの数は大きく減少傾向にあると発表しました。日本野鳥の会や山科鳥類研究所など専門機関の協力で調査した結果です。
1997~2002年にかけて1947地点で観測調査したときと比較し、スズメの数は3万1159羽から2万627羽に減少しました。環境省もこの結果から「このままのペースで減少し続けた場合、絶滅危惧種に指定するなど対策が必要な可能性がある」としています。
スズメは外国でも減少傾向
英国王立鳥類保護協会が1994年から10年間調査した結果でも、ロンドンに住むスズメの数は6割減少しています。
ヨーロッパやインドなど数多くの国で、似たような調査報告が現状相次いでいるのです。
原因として考えられること
餌の減少
夏は繁殖のためのエサが、冬は越冬用のエサが減った結果、スズメの数も減ったといわれています。
都市化によって虫が減少したためか、都市部ではヒナの巣立つ数そのものも減っています。農村部では水田の減少に農薬やコンバインの普及で、虫だけでなく落ちもみが減ったことも理由としてあげられるのです。
人間の周囲で生きているスズメにとって、ついていけないほど早く環境が悪化しています。
公害
学術誌『Frontiers in Ecology and Evolution』で、環境汚染によるスズメの免疫力低下が発表されています。スペインでの研究で、スズメから採取した血液サンプルの分析結果が掲載されたのです。
都市部のスズメほど血液が酸化し、免疫力は低下傾向にあることが判明しました。
環境汚染によるストレスは、スズメも苦しめているのです。
営巣地の減少
現代家屋は隙間が少なく、営巣場所に不向きになりました。隙間を巧みに利用して営巣するスズメには、伝統的な日本家屋こそ絶好の巣作り場所だったのです。
かやぶきや瓦のすき間を利用し子育てしてきたスズメにとって、結果として繁殖場所がなくなり減少したとされています。
スズメが減るとどうなる?
一番影響を受けると予想されるのが農業分野です。
スズメがいなくなるということは、害虫駆除に苦労を強いられることを意味します。農薬で防ぐにしても限度があるため、スズメの助けは無視できません。
スズメの保護は農業を守ることにもつながるのです。
スズメを守る方法
食料の確保
スズメはイネ科の種子が大好きです。わざと雑草を残したり、生の雑穀を餌台に置いたりするとよいでしょう。
スズメの体の構造上、加熱されたエサは控えるのがオススメです。「そのう」という餌を溜めておく器官に炎症が起こる原因となります。エサの与えすぎは依存症になりかねないという意見もあるのが現実です。ただしスズメはエサ取り合戦に負けやすいのも事実なので、加減を考え適度に与えてください。
ストレスの軽減
スズメが大好きな水浴びや砂浴びをできるようにしてあげましょう。特に都市部で砂浴びしにくい場所では効果的です。
水深1~2cmほどのバードバスを置けば、水浴び用だけでなく水飲み用としても使えます。
砂浴び用の砂は水よりも多く入れてあげてください。
営巣地の提供
巣箱を庭の木などに設置すると喜びます。入り口は直径3cmの穴をあけてあげましょう。
既製品を買うときは、スズメ除け用に入り口が小さめのものが多いです。穴を広げてあげてください。また集団で営巣する習性があるため、並べて設置するとより効果的です。
スズメに興味がわいたらこんな動画はいかが?
まずはただただスズメが食事をするだけの動画から。
ヒナと親スズメの行動につい突っ込んでみたくなるかも。かわいくも忙しい、スズメの親子の動画です。
海外では日本のスズメをこんな風に見ているの?目からうろこの動画です。
※ただまったりスズメで癒されたいだけという方はこちらへどうぞ
庭で憩うスズメたちに
夏場は暑さに負けて雑草だらけとなることも多い我が家の庭。そんな庭だからこそ、1年を通じてスズメが絶えないのかもしれません。
数を減らし続けているスズメにとって、憩いの場であることは嬉しいことでもあります。
ですがご近所さんへの手前、雑草だらけもほどほどにしたいのも本音です。
一部はスズメ特区として残すので、雑草が減っても勘弁してね。